数年前から憧れていたアケボノソウを求めて入笠山へ向かう。富士見町／沢入登山口から笹が茂る落葉松林を登るとツリバナの実も色付く。谷間から沢音が聞こえ始めガスが流れ涼やか。やがて小さな沢の丸太橋を渡り入笠湿原に入る。アキノキリンソウ、カワラナデシコ、アザミ、ノコンギク、シシウド等が迎えてくれ、草原を進むと幸い青空が広がり、シラカバが気品ある幹を連ね、秋の風情が素晴らしい湿原が展開する。木道脇でお目当てのアケボノソウが迎えてくれる。蕾もたくさん付け、丁度咲き始めの様だ。星の形をした花びらには紫色 の小さい斑点と黄緑色のやや大きなまるい斑点が２個。このまるい斑点を明 けの空の星に見たててアケボノソウ、素敵な命名だ。予想以上にしっかりした個性ある愛らしい花だ。群生せず、ぽつぽつと咲くところも凛々しい。南には夥しい数のハナイカリが淡い黄色の世界を広げる。エゾリンドウが青い花を一面に咲き並べ、目的の入笠山を背景に麗しい風情。サワギキョウは既に花期も終わり。２組の夫婦揃ってそれぞれ大きな望遠レンズで花を狙うカメラマンからは「…だら」という懐かしい信州弁が聞こえる。草原の木道を周遊しながら夢中でシャッターを切る 。

入笠山への登り斜面、コオニユリの群生


入笠山山頂

6：10　自宅発→6：30　鷹の台発西武線⇒7：25　飯能着7：35　国際興業バス⇒8：30　名栗村名郷／登山口→10：50　武川岳→11：50　焼山→12：30　二子山昼食13：00　下山開始→14：00　芦ヶ久保駅下山　14：19　西武線⇒15：55　鷹の台着→16：15　帰宅(交通費　西武線￥330＋540　バス￥790）


ヤマジノホトトギス


ママコナが群生する前武川岳


武川岳から焼山へ続く静かな尾根道

フヨウやトラノオが咲く静かな三富村徳和の里から清流／徳和川に沿って林道を進む。シデシャジンやセンニンソウが咲く登山口、杉林を登り銀晶水の湧水で咽を潤す。赤松や落葉松等の雑木林を進み、小さな笹が茂り始めるとせせらぎが聞こえ錦晶水に至る。小休止し涼をとる。冷たい水が旨い。汗びっしょりとなり、吹き抜ける風が爽やか。国師ヶ原から今回は巻道を進み、水ノタルから戻るルートを採る。鬱蒼としたコメツガ等の緩やかな林から一転し急斜面、傍らにはアオヤギソウが群生する。前回、御前山でコバイケイソウと間違えた様だ。高度も上がり樹木の背丈も低くなるとピンクのホツツジが次々と現れる。黒金山へ続く稜線から岩場を戻り乾徳山に到着。途中前後して登った扇平経由の若い男女のグループも間もなく到着。地図上の歩程は同じ1時間４０分。残念ながら展望は利かない。ミヤマアキノキリンソウ等が咲く岩場で流れる雲を眺めながら旨いコーヒーを喫する。暫く待つが富士山は姿を現さない。諦めて下山。
鎖で岩場を下る。キンレイカ（オミナエシ科）、イワインチン（キク科、茵陳＝カワラヨモギの漢名）、ミヤマウイキョウ、ノコンギク、ウスユキソウ等が咲く。樹間から草原の風情が素晴らしい道満山の先に大菩薩の嶺が現れ、麓や甲府の街も見える。扇平は一面スゲが茂る。マツムシソウが群生する景色を期待してきたががっかり。アザミ、カワラナデシコ、ハクサンフウロ、コウリンカが寂しく咲く草原で、西の小楢山を眺めながら昼食。乾徳山の頂は未だ雲が流れる。広大な風景に心も寛がる一時。
リョウブが白い穂状の花を付ける緩やかな道満尾根を下るとハクサンシャジン、フシグロセンノウ、ママコナが咲き、赤松林から急斜面を徳和の里に下山。麓の吉祥寺で毘沙門天に参る。
盛夏の一日、たっぷりと汗をかき、気持ちの好い山歩きを楽しんだ。姿を見せぬマツムシソウ、数年前の大菩薩嶺でも同じであったが地球温暖化が原因しているのだろうか。

4：50　自宅発⇒8：00　中央道／八王子／諏訪IC経由　大河原峠→8：30　双子山（2,223m）→9：00　双子池→９：30　亀甲池→10：50　北横岳　11：20　下山開始→11：50　大岳（2,382m）昼食12：20　下山再開→13：20　双子池→14：30　大河原峠⇒18：30　帰宅　（高速料＝￥3,650×２　走行距離＝約420km）


双子池（雄池）


森羅万象／シラビソの原生林


静かな亀甲池

八月／葉月、最初の週末、奥多摩湖から大ブナ尾根を登る。いきなり厳しい登り。クヌギやリョウブ等の雑木林にはヒグラシが啼き、キヌタソウが優し気に咲く。鞍部を進み防火帯の明るい尾根、叢で赤紫色が鮮やかなミヤマタニワタシ（マメ科）の花を見付ける。立ち塞がる岩からヤマユリが気品ある白い花を下げ、岩を越えて進むとシュロソウに遭遇。丁度咲き始めで、未だ丸い小さな蕾もある。大好きな花、えんじ色のシックな小花に感動。大きなシラネセンキュウ、逆光に輝く。アオヤギソウが群生し、見上げるノリウツギの白い穂が陽射しに浮かぶ。急斜面の傍らには朱色のフシグロセンノウが彩りを添え、クサアジサイが優しく連なる。小河内峠への分岐から東進した山頂直下にはオオバギボウシが薄紫の花を下げる。落葉松等が茂る山頂、今日は歩程も短いのでゆっくり昼食。ベンチの傍ら、清楚なソバナの先にはお気に入りの鷹の巣山が微笑む。アキアカネが飛び交う山頂を辞し、タマアジサイが艶やかな風情を見せる斜面を下る。カツラやブナの巨樹が茂る北斜面にはギンバイソウが群生する。丁度満開の様、花名の由来となる梅の花に似て可愛い白い花が緑に映える。更に下ると涼やかな風情の栃寄大滝が姿を現す。水が勢いよく流れ下り、水滴が陽射しに輝く。滝壷にはホトトギスが枝垂れ、優美に虹が掛かる。心地よい滝の轟音、飛沫のマイナスイオンを浴びながら旨いコーヒーを喫する。将に至福の時。馴染みのトチノキの巨樹に挨拶し、小さな滝の傍ら、見事に紫の花を咲き連ねるイワタバコの花に再会。ヌスビトハギの小さな花が陽射しに輝く栃寄沢に沿って境橋に下る。御前山は豊かな自然が残る貴重な山。静かな奥多摩の夏を楽しんだ。里は猛暑。

6：05　自宅発⇒6：43　立川駅発JR⇒8：10　笹子駅着→11：10　滝子山　：20　発→12：40　大谷ヶ丸→13：45　ハマイバ丸昼食　14：15発→14：50　大蔵高丸→16：00　湯の沢峠→18：39　甲斐大和駅発JR⇒20：05　立川着⇒20：50　帰宅　（交通費JR￥1,110×2）


滝子山北斜面／ヤマアジサイ


緩やかに畝る南小金沢連嶺を振返る


ハマイバ丸のお花畑／黒岳、白谷丸

「海の日」の３連休、季節外れの大形台風が直撃。北アルプス／薬師岳／黒部五郎岳／雲の平への計画を変更し鳳凰三山を選ぶ。夜叉神峠への路線バスは運休、青木鉱泉まで車で向かう。台風一過の青空を期待したが、又しても天気は不機嫌。青木橋からノリウツギ、キヌタソウ、初めてのイケマが姿を見せる林道を進む。登山口からシラビソ、落葉松等の急斜面を登るとトリアシショウマのお出迎え。オガラバナが優しい穂を下げ、ウツギの白い花が愛らしい。1時間程登った所で小雨も降り始め、残りの急登４時間に弱気になり、引き返そうかと暫く躊躇。ツルアジサイの白い花に惹かれて初志を貫徹。笹谷にシラカバの鞍部にほっとするが直ぐに急登。苔むした細いシラビソの林、ゴゼンタチバナ、マイズルソウの花が連なり励まされる。何か珍しい花は咲いていないかと進むと、優しい欄を見付けた。キソチドリの様だ。少し開けた所で昼食。珍しく食欲がなく、おにぎり１個の後、温かいコーヒーでようやく元気がでる。変化のない急登の連続、唯一のポイント／御座石を過ぎた林奥に何やら白い花を見付けた。優美な風情のイチヨウランが５株、希有な出逢いに感激。植生が変わり、シャクナゲが茂り、ナナカマドが白い花を付け、ダケカンバの樹林にキバナノコマノツメが群生。幸い陽が射し頂が見え始め、数組の下山者にも出逢い気持ちも明るくなる。山頂直下ではツマトリソウ、ミヤマハンショウズルが迎えてくれる。7時間を登り切り、漸く白い花崗岩の砂礫に岩が林立する薬師岳山頂に立つ。西の北岳は上部に雲が掛かるが雄大な山容は迫力。南方、砂払山の先の富士山は残念ながら雲の中。薬師岳小屋で受付を済ませ、暫し砂山で一人酒。夕食後、愛想の好くない従業員ではあるが「夕焼けが綺麗」と声を掛けてくれる。急いでカメラを担いで砂払山を駆け登る。真っ赤な夕陽が沈む一瞬。仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、観音岳、連なる南アルプスの山々が輝き笑っている。素晴らしい景色に感謝。明日の晴天を祈り貸切りの小屋で早い就寝。

7/17（火）雨
6：00　薬師岳小屋→6：10　薬師岳→6：40　観音岳→8：10　地蔵岳→9：00　鳳凰小屋→9：40　五色滝→10：15　白糸滝→12：35　青木鉱泉13：20　青木鉱泉⇒16：30　帰宅 （宿泊費￥7,800　駐車場／入浴料￥1,500＋1,000）（高速料　￥2,700×2　走行距離　276K）


ガスが掛かり幻想的な地蔵岳／オベリスクと地蔵群


ドンドコ沢の五色滝