未明の西空に満月が残る天皇誕生日・三連休の最終日。今年最後の山行は5年前の2002年、同じ様に2日の雨降り後、雲を突き抜けて登った稜線で思い掛けなく出逢った雲海に浮かぶ富士山など、見事な雪景色の再会を求めて三ツ峠山へ向かう。河口湖駅からのバスの車窓、雲ひとつ無い晴天が広がり、湖の先に秀麗富士が優美な裾を広げる。三ツ峠入口から車道を1時間ほど歩き、登山口から暫く富士山とお別れし北斜面の雪道を登る。昨日は午後から晴れ、既に樹木の着雪は解けている。雪は前回よりも少ないが吹き溜まりは30ｃｍ程ある。稜線に出ると明るい陽が射しこみ、南に冠雪の富士山が大きく迫る。少し雲が出始めた。ベンチに座りコーヒーを喫み暖を採る。緩やかな稜線を西に進むとセピア色の花殻や野バラの赤い実が白い雪に彩りを添える。なだらかな木無山、落葉松林に富士山の雪景色が麗しい。折り返した開運山の急斜面、振返る木無山の先に御坂山塊の主峰・黒岳や節刀ヶ岳、釈迦ヶ岳が連なり、遠く南アルプスの冠雪の山並みが浮かぶ。大パノラマが雄大に広がる山頂、風を避ける岩陰で優雅な雪上の昼餉。団体が到着し、少し下った展望の利く南斜面へ避難。低いベンチでザックを背にお昼寝。暖かい陽射しを浴び暫し白銀の夢の世界。開運山の屏風岩越しに御正体山、杓子山を見ながら長い尾根を三つ峠駅に下山。再び雲も取れた富士山は健気に最後までお見送り。ホリデー快速は文字通り快適に走る。クリスマスイブの宵闇も深まる車窓には又も満月が出迎え。

今年は幸い過去最多となる33回の山行を楽しんだ。念願の南小金沢連嶺の縦走ではオオカメノキの白い花に出逢い好い写真が撮れた。鳳凰三山では雨に降られたが、キソチドリ、イチヨウランの珍しい花が呼び掛けてくれた。秋雨前線を越えて向かった武尊山では雄大な展望を満喫。トラブルもあったが幸いナイスリカバリー。豊かな自然と健康に感謝。

7：15　自宅発→7：35　鷹の台発／西武線⇒9：08　芦ヶ久保駅→10：25　日向山→11：50　丸山　昼食　12：25　下山開始→14：10　金晶寺　→15：10　横瀬駅発／西武線⇒17：05　帰宅


マユミが実を付ける日向山から武甲山を望む


日向山より丸山方面を望む


五番札所／語歌堂

6：25　自宅発⇒7：05　立川発ＪＲ⇒8：28　奥多摩駅着8：35　西東京バス⇒9：00　東日原登山口→10：05　稲村岩→12：15　鷹ノ巣山　昼食　12：45　下山開始→14：59　奥多摩湖下山　西東京バス⇒15：25　奥多摩発ＪＲ⇒16：40　国分寺着⇒17：10　帰宅　（交通費　ＪＲ￥620＋690　バス￥450+290）

１１月は長崎旅行に出掛けた所為かあっという間に過ぎてしまい、山も御無沙汰。師走最初の休日、満を辞して奥多摩へ向かう。１２月と言うのに奥多摩駅は登山者で賑わう。臨時バスで降りた日原、「萬寿の水」の湧水で英気を養い、青空に特異な山容を見せる稲村岩に向かう。清流／日原川を渡り、名残りの紅葉が陽射しに輝く巳ノ戸沢から急斜面をトラバースして尾根に取付く。既に葉が落ちた雑木林は展望が利き、東に天目山や川乗山、西に酉谷山に続く山並が青空に美しい。長いきつい登りが続く。温かな陽気で上着を脱いでも汗をかく。何時もの爽やかな風情が気持ち良いブナ林でコーヒータイム。ゆっくり高度を上げていくと北斜面は霜柱が凍てつき空気は冷んやり。ヒルメシクイノダワの鞍部から雲取山も姿を見せる最後の急斜面を登り山頂に飛び出る。幾重もの淡いブルーの山並が迎えてくれるが富士山は機嫌が悪く雲に隠れて姿を見せぬ。南アルプスは遥か遠い。7、8人の登山者が休む山頂。大岳山、御前山、三頭山等の山並を眺めながらゆっくり昼食。さすがに師走、寒さが忍び寄る。石尾根から下った水根山の落葉松林、茶色の落ち葉の絨毯が柔らかい。巻道から檜の急斜面を下り、せせらぎが心地よい水根沢を下る。日陰の深い谷から見上げる西日の当たる斜面は冬枯れの木立と落ち葉の淡いベージュの風情がシック。落ち葉を踏み締めながら下るとカエデ、クヌギ、名残りの紅葉が迎えてくれる。日が陰る榧ノ木尾根を背景に弱い陽射しを受ける柔らかな紅葉の風情が麗しい。静かな水根の里に下山。運良く直ぐに来たバスで奥多摩へ戻り、ホリデー快速で効率良く帰宅。土産は倒木のコメツガの枝が2本。初冬の爽やかな山、山の霊気が心身に染みわたり心地よくリフレッシュ。

晩秋の西沢渓谷


西沢の滝縁を進む


尾根道から七ツ釜五段ノ滝を見下ろす

5：40　自宅発⇒8：10　鴨沢登山口→10：45　七ツ石山分岐→11：40　小雲取→12：00　雲取山　昼食　12：50　下山開始→15：40　鴨沢下山⇒18：00　帰宅　

足早に走り去った季節外れの台風一過、目指す奥多摩の山並みが朝陽で淡い薄紫色に染まり、空には十三夜の名残りが白く浮かぶ。日原林道は崖崩れで通行不能、予定ルートを変更して鴨沢へ向かう。杉林の緩やかな尾根を暫く進むとクヌギやリョウブの雑木林となりツリバナが赤い実を下げ、カエデの赤が鮮やか。中腹のブナ坂は紅葉が真っ盛り。真っ青な空に向かう尾根のシックな紅葉、ダケカンバの白い幹が際立ち麗しい。富士山も顔を出す分岐から七ツ石小屋を経由したが、結局、七ツ石山の巻き道・ブナ坂に戻る。静寂の緩やかな尾根を北に向かうと奥秩父の山並みが現れ、七ツ石山分岐から黄金色に輝く落葉松が美しい石尾根を進む。小さな子連れグループなど山下してくる登山者が多い。台風にも拘わらず登ったパワーは結構だが、無理をせず天候に順応することも必要だ。ナナカマドが赤い実を付ける尾根をゆっくり進むと飛龍山のうねる山並みの先に先週訪ねた唐松尾山、更に甲武信ヶ岳、奥北仙丈ケ岳が連なり、遠く冠雪の南アルプスの山並みが浮かぶ。小雲取の急登は富士山を振り返りながらゆっくり越える。優美な笹の頂きが青空に迫る尾根から最後のピークを一登り。

雲取山南方の展望／石尾根／鷹ノ巣山／大岳山／御前山等

6：15　自宅発⇒6：35　上北台⇒8：50　三ノ瀬登山口→10：40　牛王院平→11：40　西御殿岩（2,075m）昼食12：20　下山開始→13：25　牛王院平→13：40　将監峠→15：20　三ノ瀬下山⇒17：50　上北台⇒18：10　帰宅（走行距離　約160Ｋ）

夜半過ぎ迄降った雨も上がり青空が広がる早朝、奥多摩湖を越え大菩薩ラインを西に向かう。シラカバが清楚な佇まいを見せる三ノ瀬登山口から一ノ瀬川に沿って林道を遡り七ツ石尾根を進む。ダケカンバやミズナラの巨樹が林立する雑木林、落ち葉やドングリを踏みながら登るとキノコが頭を出し、カエデや落葉松も色着き始め、笹の緑に織り成すモスグリーンが渋い風情を魅せる。爽やかな日和、ゆっくりと高度を上げる。振返ると落葉松の枝越しに大菩薩嶺が見え、やがて冠雪の秀麗富士が姿を現す。コメツガの鞍部からナナカマドの真っ赤な実が彩りを添える落葉松林を過ぎると明るい草原の風情が麗しい牛王院平に至る。紅葉の間から目的の西御殿岩辺り、針葉樹の緑に赤や黄色の紅葉が際立つ山容が青空に高い。山ノ神土の分岐から大きなコメツガが茂る石の尾根道、枝の間から富士山が笑う。サラサドウダンの赤い葉が逆光に美しい分岐から笹谷の急斜面を登る。そこは３６０度の展望が開ける西御殿岩。南に富士山、大菩薩嶺、雁ガ腹摺山。西には唐松尾山、奥北仙丈ケ岳、遠く冠雪の北岳等の南アルプス。東には雲取山、飛龍山、和名倉山、東千波、リンノ峰。北に両神山。風もなく温かい陽射しを浴びながら天上の優雅な昼餉。雄大な風景に心も寛がる。

牛王院平

5：10　自宅発⇒7：50　八王子／韮崎IC経由広河原→8：30　甘利山→10：05　千頭星山→10：40　尾根昼食12：00　下山開始→13：10　広河原下山⇒16：00　帰宅（高速料￥2,700×２　走行距離＝約270k）

青空に甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山が真近に迫る韮崎ICから林道を遡ると鮮やかな紫の花、セキヤノアキチョウジの見事な群生が呼止める。広河原に着くと何としたことかガスが掛り始めた。緑の笹にシダの黄葉、スゲが靡く草原をゆっくり進むとレンゲツツジの赤い紅葉にヤマハハコの白が浮立つ。長い雌しべの花殻を付けたハクサンフウロは赤く紅葉し、ヤマラッキョウのピンクの坊主が彩りを添える。

奥甘利山


笹が茂る落葉松の尾根

前武尊／山頂直下の南斜面


前武尊の北峰

剣ケ峰の岩場は一旦下って巻道を進む。珍しい山名の家ノ串山を越え、雄大に広がる中ノ岳から武尊山へ向かって痩せた岩場を進む。至仏山の西には昨夏訪ねた笠ケ岳も見える。夏の名残りのミヤマアキノキリンソウが咲き、ハクサンオミナエシはシックに紅葉している。青空に鰯雲が広がり、スゲの穂が白く靡き、色付き始めたカエデが移ろう季節を感じさせる。ゆったりした山の風情が麗しい。中ノ岳下で前回登った草倉沢ルートと合わせ、笹谷を巻いて進むと優美な武尊山が迫る。笹清水で咽を潤し、水面に山影を写す三ツ池の辺りからリンドウも咲く最後の斜面を登ると登山者で賑わう山頂に至る。富士山は雲に隠れるが、西の裏見ノ滝ルートからの剣が峰、雲海から頭を出す四阿山等を眺めながらゆっくり昼食。暫し山頂の爽快感を満喫。下山はササユリ、ツルリンドウ等の草花の実を愉しみながら雄大な景色を惜しみ惜しみ折り返す。前武尊への下り、ダケカンバの白い幹が美しい。秋の弱い陽射しに油断して首が日焼けで痛い。晴天に恵まれた静かな初秋、おっとりした風情、懐の深い武尊山の魅力は膨らむ。

滝子山との最初の関わりは98年春の松が谷山行。前夜飲み過ぎで起きられず、遅れて後を追う積もりで出掛けたが、大月より先の電車が無く方向を変えて奥多摩へ。翌年の夏休み、丹沢で増水による水害事故もあった大雨の後、満を辞して向かうが、登山口の大鹿沢に橋が無く躊躇。諦めて引返そうと思ったが、少年時代の田舎、天竜川支流の松川での川遊びを思えば何でも無いと思い切って徒渉。この決断、この１歩で滝子山との縁が始まる。この最初の滝子山、山頂直下のブナ林で咲き連なるレンゲショウマを独り占め、地面に腹這いになりローアングルで撮影。山頂で濡れたズボンと足を乾かした記憶が残るが印象は寂しい山。２度目の山行もドラマチック。５年後の０４年９月、裂石から上日川峠、大菩薩嶺、丸山峠を周遊する予定で塩山発のバスに合わせ、早朝で立川へのバスが無いため鷹の台、国分寺経由で向かったが、乗換えを勘違いして高尾発の予定電車に乗り遅れ。塩山のバスは２時間後しかなく、持合わせた山地図を広げ、予定を変更して滝子山へ向かう。９月の初旬、紅葉にも早く中途半端な季節で期待もなく山道を進むとテンニンソウ、シュロソウ、オクモミジバハグマ、セキヤノアキチョウジ、カメバヒキオコシ、ツリフネソウ等の草花が大歓迎、初狩への下山路ではシモバシラがお見送り、大感動。失敗は成功の元。翌年の６月はトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが満開、檜平では清楚なササバギンランに出逢う。同じ年の７月、初めて南陵尾根を登るとリョウブの白い穂状の花が満開。すっかり滝子姫に惚れ込み昨年は５回訪れ、紅葉も素晴らしかった。3度目となる初秋、始めて松が谷の仲間をお誘いした。先日の台風で荒れて痛ましい。風雨が激しかった様で大きな木が倒れ、登山道も数カ所崩れている。緩やかな沢道を高い沢音をGBMに進み、三丈ノ滝、モチケ滝、赤岩ノ滝を越える。何時もの様に勢いよく流れ下る滑滝の岩盤上でコーヒーを喫し、麓で求めた笹子餅を食す。大きなサワグルミ等が茂る森羅万象の世界、暫し憩いの時。防火帯のお花畑では秋の草花が迎えてくれ、楽しい会話、美味しい昼食。晴れ間も見え出した山頂、何時もの山々が笑っている。13回目となるお気に入りの滝子山、何時もの仲間と共に楽しんだ。